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第11回 あなたはどの歯並びタイプ?

今日はあなたも鏡を持って、自分の口の中を見てみましょう。

あなたが今どんな歯並びをして、口の中がどんな状態なのかをぜひ知っていただきたいと思います。

私は咬み合わせ治療でおいでになった患者さん、239人の歯の模型を計測して、大きさによって歯並びを3つのタイプに分類しました。

あなたも自分がどのタイプに入るのか、実際に口の中を見てみてください。

Ⅰ型 ヒューマンスケール

さて1つ目は非常に良い歯並びをⅠ型とし、ヒューマンスケールと名付けました。

ヒューマンスケールⅠ型

この写真の方は当時70歳でした。
素晴らしい歯並びをしています。

綺麗なカーブの歯並び
しっかり直立した歯


歯の大きさの素晴らしさもさることながら、歯並びのカーブのコーナーが張り出していて、とてもいい調和がとれています。
さらに、歯が直立していて全く舌に当たっていないですね。

歯が舌に当たっていないため、舌にとっては非常に安心できる歯並びであると言えます。

Ⅱ型 ドッグスケール

次はⅡ型、これをドッグスケールと名付けました。

ドッグスケールⅡ型

犬の歯並びは三角なんです。
その犬に近い歯並びということで、ドッグスケールと名付けました。

Ⅴ字になったカーブ
舌に倒れこんだ歯


先ほどのヒューマンスケールのようなカーブの張り出しがなくなって、V字型になっています。

そして、矢印のところを見ると歯が倒れ込んでいますね。
こうなると、倒れこんだ歯が舌を刺すんです。


すると、舌は刺激が嫌で横に避けます。
そして、下の顎も一緒に横に動いてしまいます。
その下の顎はブランコのようになっており、普段は少し上下の歯の間に隙間があります。
隙間がある時には、下の顎はプランプランなので舌と一緒にどちらかによってしまうんですね。

そのせいで、このⅡ型の人は体調不良が起こったり、顎の関節が痛んだり、滑舌が悪くなったりします。

Ⅲ型 チンパンジースケール

そして最後はⅢ型をチンパンジースケールと名付けました。

ドッグスケールのV字型よりも、歯並びがもっと狭くなり舌の居場所がもっとなくなった状態です。

この矢印のところを見ていただくと、舌がすごくえぐれているように跡がついているのが分かりますよね。

よりⅤ字になったカーブ
舌に突き刺さった歯

ですから、ドッグスケールの人よりも舌にとても刺激があるんです。
これは、運が悪いと舌癌になるかもしれないぐらいの刺激です。

ですから、あなたがもしⅢ型だったら、舌はいつも必死で歯から逃げているんです。
舌が必死で逃げているということは、顎の位置も横へずれてしまっている、ということです。
そして体調不良や滑舌不良、顎の関節が悪くなるといった症状が襲ってくるということです。

これは例えて言うとぎゅうぎゅうの満員電車で、つり革につかまって斜めになったまま1駅過ごすような状態です。
満員電車の状態で24時間365日いると考えると、舌にはとんでもない負担があるのがお分かりいただけると思います。

チンパンジースケールⅢ型の方の舌は、こんな理不尽に耐えて毎日過ごしているんです。

あなたは何型?

さて、あなたはどのタイプでしたか?

Ⅰ型だったらほぼ問題ないでしょう。

Ⅱ型、Ⅲ型だったら、あなたの舌が非常に辛い思いをしているというのを、今日知っていただけたかなと思います。

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第10回 歯周病の原因はストレスじゃなくキスかもしれない

今日は歯周病がどういう形でうつっていくのか?というお話をしたいと思います。
歯周病菌のうつり方は、テレビでは取り上げられることが少ないですよね。


以前、虫歯菌は親から子供に唾液を通してうつるというお話をしました。
では、歯周病菌はどうやってうつるのでしょうか。

歯周ポケットに潜んだ歯周病菌

歯周病菌と虫歯菌

歯周病菌は、虫歯菌とは住処が違います。
虫歯菌の場合は、歯の表面が住処なんですね。


ですから、永久歯に限らず乳歯にも住みつくことができるんです。
0歳の赤ちゃんでも乳歯が生えていますから、その表面に虫歯菌は住みつくんですね。
つまり、親から子にキスをした時に唾液でうつってしまうんです。

虫歯菌のついた乳歯

では歯周病菌はどこに住んでいるかと言うと、歯と歯茎の間にある歯周ポケットと言う溝です。
また、偏性嫌気性菌(へんせいけんきせいきん)と言って、空気に触れると死んでしまうという性質を持っています。
ですから、虫歯菌に比べると歯周病菌はうつりにくいんですね。

しかし一番の問題は、人から歯周病菌がうつったときに住処があるかないかなんです。

歯周ポケット

実は乳歯には、歯周ポケットというものはありません。
乳歯というのは、歯と歯茎がぴったりとくっついているから、歯周ポケットがないんです。

では、いつ頃から歯周ポケットができ始めるのか?
それは最初に生えてくる永久歯の6番という歯が出てくるときです。

前から数えて6番目の歯、これを6歳臼歯と言います。
6歳頃に最初に生えてくる永久歯で、とても大事な歯です。

大人の歯列の6歳臼歯

女性の場合は、思春期にエストロゲンという女性ホルモンの分泌量が増えます。
このエストロゲンが歯周病菌の好物なんです。
ですから、思春期性歯肉炎が起こりやすくなります。

しかし本格的に歯周ポケットができるのは、やはり大人になってからなんですね。

そしてやはり、歯周病菌も唾液によってうつります

厚生労働省のデータでは、日本人の45歳から55歳までの歯周病の罹患率、歯周ポケットの含有率というのは2011年頃に大きく減少しています。

詳しくはこちら

歯科医師の皆さん、歯科衛生士の方が頑張って注意喚起し、患者の皆さんの意識が向上したからです。
ちゃんと歯を磨いたり定期的にケアに通うようになってくれた結果、ここ何十年かで大きく減っています。
しかし近年、45歳以降は50%前後の人が歯周ポケットがありますね。

歯周ポケットがあるということは、そこに歯周病菌がたくさん潜んでいるかもしれないということです。

歯周病は性感染症?

では歯周病菌が大人にどうやってうつるのか?

率直に言うとキスでうつるんです。
キスにをすると唾液が交換されます。
大半の人は歯周ポケットが十分にあるため、キスによってうつった歯周病菌が定着してしまうんですね。

以前「歯周病は性感染症だ」と言い切った先生がいらっしゃいます。

先生曰く、歯周病が完治して歯周病菌が全くいなくなっていたのに、再発する方がいたと。
原因を調べていくと、再発した方はパートナーと仲が良くキスを頻繁にしていたそうです。
尚且つ、キスの前に歯を磨いたりする習慣がなかった。
逆にパートナーと仲が良くても、ちゃんと口腔ケアをしてキスをしていた方は再発が少なかったそうです。

また、夫婦や恋人との仲が冷え切っていたり、キスを習慣的にしない方達は再発がほとんどなかったそうです。

ですから、虫歯菌は親から子供にうつり、歯周病菌は大人同士のキスでうつる、と考えていただければ良いのではないかと思います。

まとめ

今日の注意点は3つです。

1つ目、若いうちから歯科医院へ定期的に行き、メインテナンスをやってもらって口の中の細菌や歯周病菌をできるだけ減らしておくこと。

2つ目、キスをする前にちゃんと口腔ケア、歯磨きをしてなるべく口内の菌数を減らしておくこと。

3つ目、仲が良い夫婦やカップルの場合、歯周病治療はどちらか一人ではなく二人でやること。
片方がせっかく治療しても、もう一方が治療していないとお互いに移し合うことになってしまいます。

本日は大人の歯周病講座でした。

次回からはまた舌ストレス、歯並びのお話に戻ります。
是非鏡を用意して、ご自分でも口の中を見てみてください。

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第9回 口は身体の外か中か?

前回は、口の中は小さな地球だ、というお話をしましたね。

今日は人間とはドーナツみたいなものなんだ、というお話に加えて、歯とはどんな存在なのかという話をしたいと思います。

どこが体の外?

前回の最後に言った、口の中は体の外か?中か?という問題。
実は口の中というのは、体の外なんです。
口の他にも、意外と体の外というものはあります。

例えばがそうですね。
膀胱や、女性なら子宮もそうです。
体の外だからこそ、ばい菌が入ってくる。

つまり、外気に触れるところは外、ということです。
そして外か中かというのは、皮膚などのバリアを張ってものすごく厳しく分けているんですね。

だから体の外である口や鼻など、ばい菌が侵入して来やすいところはものすごくがっちりとした守備が張り巡らされています。
皮膚によって体の外と中はしっかり分けられていますが、実は歯というのは外と中を貫いてしまっているんですね。

例えて言うと、手に釘が刺さっているようなものです。

異常な感じがしますが、我々の体の中でこのような構造しているのは歯だけなんです。

腕に生えている釘の周りにある、デンタルプラークという歯垢。
それは、実は大便の10倍ぐらい汚いものなんです

プラークの汚さは大便並み

「大便の方が汚いに決まっているじゃないですか」
という声が聞こえてきそうですが、それは単純に量の問題なんですね。

大便よりも汚いものが歯の周りにあるのに、歯は体の中を刺している。
だから、どんどん菌が体内に入ってしまう状況になります。

鼻とか口とかの外界と接しているものは、しっかり防御システムがあります。
しかし歯の周りというのは、歯周病などになってしまった場合にバリアのようなシステムがないんです。
菌が通過して、全身にばらまかれてしまうことになります。
そして慢性病のためずっと続いてしまう、という仕組みになっているんです。

体の中に入った虫歯菌や歯周病菌は、体のあちこちを絨毯爆撃みたいに攻撃していきます。
脳では血栓を作ったり、子宮の中では羊水の中で増えたりするんですね。
菌が心臓にいってしまった場合、心筋梗塞の原因などにもなります。

どれくらい汚いか想像してみよう

ここでちょっと考えてみてください。

もし歯周ポケットが5mmあったとすると、歯は28本ですから合計で歯周ポケットの面積が大体72㎡になりますね。
これは大体手のひら1枚分なんです。
そして歯周病になっているということは、皮膚が炎症して壊れている状態です。

例えるなら、手の皮膚を剥がしてしまって、大便より汚い菌の中にドボっと突っ込んでいる状態です。
この状態で24時間365日いると、抗生物質などを飲んでも効かないと思います。
どんどんばい菌の供給の方が勝って、全身に菌が回ってしまうという状況だと思ってください。

歯の菌がなんの病気の原因に?

歯の周りのばい菌、虫歯菌や歯周病菌が原因で起こるとされている病気はたくさんあります。
肺炎、心臓病、他には心筋梗塞、糖尿病、早産、脳梗塞や脳出血もあります。
そして、リュウマチ、骨粗鬆症、メタボリックシンドロームなど、多くの病気に関係があるということが分かってきています。


特に肺炎、誤嚥性肺炎に気を付けてください。
喉の機能が衰えてくると、食べ物や唾液と一緒に菌が入りやすくなります。
やはり口の中のばい菌の量が多いと、肺や気管支に入る菌の量も多くなるんです。

そして、誤嚥性肺炎によって年間約10万人の方が亡くなっているんです。

ですから、皆さんしっかり歯科医院で歯ブラシのやり方を教わり、毎日きちんと磨いてください。


また、メンテナンス、予防に力を入れている歯科医院の衛生士さんに、定期的に口の中を綺麗にしてもらうことを是非忘れないでください。

次回は、歯周病が実はエロいうつり方をしていた、というものをお話しいたします。

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第8回 あなたの口に地球がある

今日はあなたの口の中はどんな世界なのか?というお話をしたいと思います。

率直に言うと、あなたの口の中は小さな地球なんです。

まずあなたの口の中には、唾液の海があります。(図1)
その中に歯の山脈があります。(図2)
唾液の海の下からは、舌下腺(ぜっかせん)、顎下腺(がくかせん)という泉が湧いています。(図3)
上からは耳下腺(じかせん)という滝が流れています。(図4)
この滝は、ばい菌が一匹もいない清流なんです。
そして、唾液の海の中にはとても小さい粒の中に、1億個ぐらいのばい菌がうごめいています。
さらに歯の山脈には植物が生えています。(図5)
これがデンタルプラーク細菌という植物で、絡み合って林や森のようになっています。
その中に運動性菌という、運動するばい菌がうごめいています。

図1 唾液の海
図2 歯の山脈
図3 舌下腺、顎下腺の泉
図4 耳下腺の滝
図5 細菌の植物

山脈の上にいるばい菌たちは、通性嫌気性菌(つうせいけんきせいきん)と言って、空気があっても生きていけるんです。
例えて言うと、ヒトデとかイソギンチャクのような浅瀬の生き物。


そして歯周ポケットという歯と歯茎の間にある溝、そこにいるのは空気があると生きていけない偏性嫌気性菌(へんせいけんきせいきん)です。
歯周ポケットが4㎜あるとします。
そうすると、ばい菌の大きさは1000分の1㎜なので、4㎜の歯周ポケットは我々の世界で言うと海溝4000mのマリアナ海溝みたいなものなんです。
その底にいるので、深海魚のようなものですね。

浅瀬の生き物と深海魚の間は何層かに分かれていて、住み分けがされています。
隣接しているものとは仲がいいんです。
自分が食べたものを出してあげて、次が利用する。
そして、また出してあげてその次が利用する。
このようにそれぞれお隣さんとは仲がいいんですけれども、上と下は仲良くないんです。
バクテリオシンと言う抗生物質を出して、お互いに牽制し合っています。
住むところによっては4層ぐらいに共生と拮抗が行われています。

バクテリオシンは一番遠い種族だけではなく、自分の同族にも出すんです。
なぜかと言うと、自分のご飯を食べられてしまうからです。
やはり一番のライバルは同族なんですね。
だから仲間と一番遠い種族に対して、バクテリオシンという抗生物質を出して戦っています。

その間には免疫組織という警察がまわっていて、貪食細胞と言う大きな戦車でパクっと食べたり、抗体補体というミサイルや機関銃を撃ってまわったりしてパトロールをしています。

このように、口の中はひとつの完成された世界なんです。


さて、私が口の中のばい菌を患者さんに説明する時の例えとして、このような言い方をしています。

虫歯菌というのは広域暴力団Aです。
深海魚の歯周病菌というのは広域暴力団Bです。
免疫が警察です。


そしてもう1つ、弱小組織Cと例えている真菌というカビ
実は口の中にはカビがいるんです。
カビは普段、口の中でじっと大人しくしています。
しかし、抗生物質を大量に使って虫歯菌と歯周病菌が絶滅するような状態であると、警察の免疫ではなくカビがたくさん出てくるんです。


これを菌交代現象と言います。

こうやって口の中は常にバランスがとれているんですね。
そのおかげで、外から入ってくる凶悪犯のような菌が入る隙がないんです。
ちゃんと住み分けをして私たちの身体を守ってくれているんですね。

さらに、唾液はとても重要な役割を果たしています。
唾液の中に6つか7つほどの抗菌物質がありますが、口の中の細菌は耐性があるので唾液があっても生きていけるんです。
しかし外から飛び込んできたばい菌は耐性がないので、体内に入らず唾液でブロックされています。

では次回は、人間とはドーナツみたいなものだ、というお話をします。

ここで一つ質問です。
口の中はあなたの‘体の中‘だと思いますか?
‘体の外‘だと思いますか?

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第7回 10代でもなる歯周病

思春期以降の口の中

前回は口腔ケア年表で0歳から12歳までの歯の注意事項をお話しました。
今日は思春期以降の注意事項をお話したいと思います。

さて、16歳、思春期になると思春期特有のホルモンが出てきます。
特に女性ですね。
実は歯周病菌のあるものはこのホルモンが大好きなんです。
そのために歯肉炎にかかりやすくなります。

歯周病と歯肉炎


実は歯肉炎と歯周炎は少し違います。
どちらも歯茎の炎症の病気ですが、歯肉炎というのは歯茎だけに限った軽い病気だと思ってください。
それがだんだん進行し、骨にまでいってしまうのが歯周病です。

歯周病は重い病気だと思ってください。

何歳が一番歯肉炎、歯周病になる?

さて、古いデータで申し訳ないのですが、昭和62年の旧厚生省、現在でいう厚労省が取った興味深いデータがあります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/koubyou1952/55/4/55_4_640/_pdf/-char/ja

これは何歳から何歳までが、どれくらい歯肉炎、歯周病にかかっているのかというデータなんです。

5歳から14歳までは3人に1人が歯肉炎、歯周病にかかっている。
15歳から24歳までは、3人に2人。
24歳から34歳までは、4人に3人、75%。
ピークは55歳前後で、その後は少なくなっていくというデータです。

要するに、小中学生も歯周病の予備軍である、ということなんです。
逆に55歳を過ぎると減っていく理由は、歯がどんどん抜けていくために歯周病の対象となる歯がなくなっているからです。


そしておそらく若い人たちは、歯周病よりも歯肉炎の方が多いはずなんです。


それが更年期を過ぎる頃からだんだんと歯周病の方が酷くなっていき、重症化していることがわかります。
なぜかと言うと歳を重ねるごとに、歯周病菌が住む歯周ポケットがどんどん増えてくるからです。

できればマイ歯科衛生士さんを見つけて、虫歯や歯周病にならないように、定期的に口内のメンテナンスをしてもらってください。
歯周病菌の特性を科学的に見ると、最低でも3ヶ月に1回はケアをして欲しいんです。そして重症の方は1ヶ月に1回綺麗にしてもらって、残りの29日は自分でしっかりやるという癖をつけて欲しいです。


是非とも、自分の歯を大事に残してください。

大人の歯並び

そして歯並びに関してのお話です。


40歳を過ぎると歯科矯正に不向きになってくるんですね。
歯周病の割合が高くなるうえに、骨も固くなり動かしても後戻りしてしまうからです。
ですから、歯科矯正を考えている方は40歳までに終わらせて頂ければと思います。

そして50歳からは受難の年になります。
いわゆる「がん年齢」ですね。
免疫が衰えて、癌になりやすくなってくる年齢です。

歯周病に関しても50歳以上になると体の免疫が衰えてきて、歯周病がどんどん増えていきます。
歯周病は疲労やストレスでも発症しますし、老化でも発症します。

また、老化で体の色々な機能も衰えてきます。
現在、年間で約10万人が誤嚥性肺炎で亡くなっています。
これは口の周りの筋肉が衰えることが非常に大きな原因なんです。

そして、50歳を過ぎて咬み合わせに問題があり、肩こりや首のこりがすごくある場合は、歯科矯正より歯を丸めていく私の治療法のほうが良くなりやすいことがあります。
もしも困っている方がいらしたら、ご相談ください。

次回は、あなたの口の中はどんな世界なのか、についてお話ししたいと思います。

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第5回 顎の大小の重要性

前回は、咬むことで顎は大きくなる。
咬まないと顎が小さくなり、歯も内側に倒れ込んでしまう。
その結果、舌に”舌ストレス”という刺激がかかる、というお話でした。

今日は顎を大きくするために具体的にどうすればいいのか、というお話をしましょう。

顎の比較

今からお見せする図は、顎の角度を側面から表した図です。


左側が縄文人で、ほとんど直角に近いがっちりとした顎になっていますね。
それに比べて右側の現代日本人は、ゆるやかな鈍角でいかにも華奢という感じです。
縄文人は顎の角度だけではなく、歯並びも非常に大きかったんですね。

私の研究では、縄文人並みの歯並びを持ってる人は男女とも全体の約7%です。
この二つの模型を比べてみてください。

これは両方とも男性の患者さんの歯の模型です。
左側の方は、非常に顎の大きさが大きくて歯が垂直に立っている、ということがお分かりいただけると思います。
それに比べ右側の方は、舌の方に歯が倒れ込み顎の大きさが非常に小さくなっています。

縄文人は大きな顎の骨格に加え、歯並びも広かったということが分かっています。
それはひとえに咬む回数がすごかったからなんですね。
恐ろしいことに、顎の大きさは遺伝します。
もし、お父さんやお母さんが食事の際に咬む回数が少なくて顎が小さくなってしまったら、遺伝子を通じてお子さんも顎が小さくなってしまいます。

それをどのように対処すればいいか?

一つは食育です。
一回の食事での咬む回数は1000回は超えることが望ましいです。
1400回ぐらい咬むとすごくいいと思います。


そのためには、日本古来の伝統食の固くて咬みにくい食事がいいですね。
焼き魚定食などもいいです。
あとは生野菜も咬むことが結構大変ですから、咀嚼回数が増えますね。

しかし、いかに食育をしていても親御さんの遺伝子が勝って、顎や歯並びがなかなか大きくならないというケースが多々あると思います。
その場合は、6歳から12歳までの間に小児矯正をしてください。
6歳から12歳までの間は骨も柔らかく、仮骨と言ってくっついてないところもたくさんあるので、骨自体が大きくなり縄文顎にできます。

ですが、大人で特に50代以降になると、骨は硬くなり歯周病にもかかる人が多くなります。
そして矯正しても後戻りをしてしまうことが多いため、矯正以外の方法で治療する方が良いという判断をすることが多くなります。
この場合は歯を丸める治療法になります。
本当に尖っているところをまず落として丸めてあげます。
それによって舌への刺激をなくすんですね。
この治療も痛くはありません。

若い方の場合は、両方を合わせた治療法をする場合が多いです。
若い方も歯が尖ってることが多いので、矯正をして口の中の容積を広げておいて、その後丸めるんです。

今日の内容は、食育で顎を大きくすることが大事。
それでも顎が小さい場合、親からの遺伝が強いから小児矯正をすると良い。
50歳以上は少し矯正は難しいので、丸める治療をした方がいいというお話をしました。

次回は、口の中の年代別にどんなケアをしたらいいか?
これについてお話をしたいと思います。

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第4回 「咬む」ことの仕組み

前回は「なぜ舌ストレスが現代病なのか?」というお話をしました。

現代の人が舌ストレスになった原因とは、食事の際の咬む回数が少なくなってしまったからです。
そして、柔らかいものばかり食べる”軟食”になってしまったから、咬む回数が減ったというお話でした。

今日は”咬む”ということはどういうことなのか?についてお話したいと思います。

まっすぐに咬む

まず、私たちが毎日無意識にしている咬むという行為は、実は3つの簡単な動きが合わさったものなんです。
その1つがまっすぐに咬むという動き。
この動きは犬歯より後ろの4本の歯、上下左右合わせて16本の歯が引き受けています。(図1参照)

実はその時に、前歯を含めた犬歯から犬歯までを休ませているんです。(図2参照)

図1
図2

前後左右に咬む

もう1つは左右にグリっと寄る動きですね。
右の時には上下の右の犬歯だけを使い、他の歯は全部休ませています。
反対側も同じように、左の時は左の犬歯だけを使い他の歯を休ませているんです。

最後は顎を前にグリっと出す、顎が前に出る動き。
この時には前歯だけを使って、犬歯より後ろの歯は全部休んでいます。

歯は肉体労働者

咬む時に歯にかかる圧力は、実は体重分と言われています。
ですから、男性なら60kg〜70㎏、女性であれば50㎏~60㎏ほどです。
結構な圧力ですよね。

これを歯は毎日踏ん張って受けているわけですから、歯は肉体労働者と言っても過言ではありません。
しかし、人間も24時間は働けませんよね。
ですから、歯も常にどれかを休ませるように、自然とできているんです。

横揺れで歯は立つ

そして、この中で大切な舌ストレスに関する動きが、グリグリと横に動く歯ぎしりの動きです。
歯ぎしりしている時は歯が左右に横揺れしていますよね。
この動きがすごく重要なんです。
なぜかと言うと、この歯の横揺れおかげで顎自体がどんどん大きくなるんです。


歯の模型を使ったこの写真を見てください。

がっちり咬み合った歯の模型

歯を咬み合わせると、上の歯の山が下の歯の谷に入り込みます。
ロックしている状態ですね。
ロックをした状態でグリグリと横揺れが起きると、その刺激で歯は立ち上がるんです。
まっすぐに立てるんですね。
横揺れすることで歯はまっすぐに立ち上がり、なおかつ顎の骨も大きくなれる
こんな素晴らしい動きが咬むという動作のおかげで無意識にできているんです。

今日は、咬むということはどういうことなのか?
そして、咬む結果歯並びと顎の骨が大きくなる、というお話をしました。

次回は、具体的に歯並びを大きくするにはどうしたらいいのか?というお話をします。

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第3回 舌ストレスは“現代病”である

さて、前回は口の中にはやわらかいホッペと硬い歯、柔らかい舌の3人の同居人がいる。
そして、柔らかくて傷つきやすい舌とホッペは、常に歯を恐れている、というお話をしました。

さて、今日は「舌ストレスと咬み合わせ」は現代人にしかいない現代病だというお話をしましょう。

現代人特有のストレス

現代病は多々あり、その原因も色々あります。
電車や車に乗って歩かないのも一つ。
飽食美食をしてしまうのも一つ。
これらのために、糖尿病や肥満で苦しんでいる人が多いですね。

また、除菌のやりすぎで、身の回りから、ばい菌を排除してしまったために、アトピーや花粉症などのアレルギーで苦しむ人は、国民の半数近くといわれています。

でも、それに加え、現代には、歯科医としての私が気になる現代人の特徴が、もう一つあります。
それが舌のストレス、「舌ストレス」です。
この写真を見てください。

舌に歯の跡がついてますよね。
こちらの人も、そうですね。

何故現代人の舌は、こんなことになったのでしょうか?
それは、アゴもそうですが、正確に言うと、歯の並び、「歯列」が小さくなってしまったからです。

本当は、これぐらいの大きさが欲しいのです。
歯並びが大きいと同時に、歯が直立して立っているのがお判りでしょうか?
それに比べて、先ほどの二つの写真は、歯が舌側内側に倒れこんでいます。

ではなぜこんなに歯並びが小さくなってしまったのでしょうか?
それは、現代人が咬まなくなったからです。
ではなぜ咬まなくなってしまったのか?
それは、軟食、つまり柔らかいものばかりを食べるようになってしまったからです。

これが実は、皆さんが苦しんでいる「首のコリ」の原因になっているのです。

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コロナが“口の中が汚いと重症化する”という記事について

先日、歯科医が断言、新型コロナが重症化する人としない人は「口の中」が違う、という記事がプレジデントオンラインに出ました。

ちょっとコピーしてみますね。

新型コロナウイルスについては、口のなかにばい菌が多い人ほど重症化しやすいことがわかってきています。そして新型コロナウイルスはインフルエンザと異なり、唾液腺や歯ぐき、舌など、口のなかで増えることも明らかになりました。

つまり、口の中を清潔にしていないと、コロナがより重症化しますよ、という記事なのですが、これについて補足説明をいたします。

実は、これはインフルエンザで言われてきたことでした。

インフルエンザは、飛沫感染と接触感染と言われています。

その中でも、飛沫感染について、どうすればかかりにくくなるか、研究がされてきました。

その防御をする大きな要因は、鼻と口です。

特に口は、われわれの意識だけで、キレイにしたり、汚くすることができます。

もし、あなたが歯磨きや歯科医院での衛生士によるメインテナンスをおろそかにしていたらどうなるか?

実は、のどの上気道粘膜には、ウイルスがくっつくレセプターという、カギがあります。

でも、通常は、それを唾液でシールドして、くっつきにくくなっているのです

でも、あなたの口の中が汚いと、歯周病菌のプロテアーゼという毒素が出て、がこのシールドを破って、ウイルスが付きやすくしてしまいます。

また、歯周病菌は、死んだら内毒素という、自分自身毒となる厄介なやつです。

この毒は、喉に炎症を起こして、またのどのバリアーを壊してしまいます。

このように、口の中が汚いと、ダブルでウイルスにかかりやすくなるのです。

口の中が汚いと、いいことは一つもないのです。

前の映像でご説明したように、新型コロナウイルスは、飛沫感染よりも接触感染の方が優位と思われます。

しかし、いったんかかってしまったら、口の中が汚れている人は、重症化するのは、この記事でいっている通りです。

これは、インフルエンザでも、舌癌などの口の中のガンでもそうです。

だから、歯磨きや重要なのです。

歯磨きだけでは足りません。

ちゃんと、月に1回かせめて3か月に一回は、プロである衛生士さんの、メインテナンスを受けてくださいを受けて、清潔に保ってください。

この映像をきっかけにして、「口は、万病のもと」、だというのを知っていただければ幸いです。

では、舌ストレスと咬み合わせの歯科医師、安藤正之でした。

第2回 気弱な「舌」は「歯」におびえている

舌の大切さに気付く

患者さんの体調を良くしたくて、1990年ごろから、「歯の調整」に邁進していたというのは、前回お話をしましたね。
しかし、治る人は治るけれども、治らない人は全く効果がない人がいる、ということが当時一番の悩みでした。


これは、「歯科でできることはここまでです」と言い切ってよいのか?
「あとはほかの整体の先生とか、整形外科で治してください」と言っていいのかどうか、ですね。
それとも、私の腕が良くなれば、もっと上のレベルにいって、治せる確率が増えるのだろうか?
もう本当に悩みました。


しかし、あるときひらめいたのです。
「そうだ、歯の横には舌がある。もしかしてこれは、舌が原因ではないか?」
これは自分の中で、すごい発見でした。

口の中の3人の同居人

あなたの口の中には、3人の同居者がいる、と思ってください。
一人は柔らかいほっぺ。
一人は堅―い歯
一人は柔らかい「舌」です。


そして、柔らかいホッペと舌は、常に硬い歯を恐れています。
歯によって、傷ついたりするのが、怖いんです。
これがまず一つ。

下のアゴはブランコのようなもの

そして、もう一つ大事なことは、あなたの下の顎は、実はこのようにブランコになっているのです。

これを見てください。
上の顎は、頭の骨と一体化しているので動きません。
でも、下のアゴは、これはバネでつながっていますけれども、筋肉でブランブランの状態です。
噛むというのは、下のアゴが無意識に動いて、すりつぶしているのです。

下のアゴは筋肉で吊り下げられている、ブランコの状態である
下アゴはブランブランの状態で維持されている

肉食のトラなどは、垂直の動き、チョッパーです。
牛や馬などの草食系は、横にすりつぶす動き、臼のように咬みます。
人は、雑食ですからその中間ですね。
この複雑な動きを、私たちは、無意識にやっているのです。

そしてこのカムという動き。
今お話した通り、上のアゴは、頭の骨と一体化して全く動きませんので、常に下のアゴだけが動いている状態です。

これを、我々歯科の世界では、「上の歯がまな板、舌の歯が包丁」という言い方をします。

アゴの位置は何によって決まるのか?

歯科大学では、この上と下のアゴの位置関係は、何で決まるかというと、歯で決まる、と教わります。
でも、これは、いわば「食いしばっている状態」です。
確かにこの時は、アゴの位置は歯でしっかりと固定され、決まると言ってもいいですね。

でも、あなたは今、私の話を聞いて歯を食いしばっていますか?
違いますよね。
上と下の歯は空いてますよね。
これは、2ミリ程度、ほんのちょっと開いています。

実は、上の歯と下の歯が当たっている状態は、噛んでいるときしかないのです。
それは言い換えると、食事をしているときだけ、なのです。

では、1秒で一回、上下の歯が当たるとして、一食で600回噛んでいるとしたら、600秒なので、約10分。
朝昼晩600回食べるとしたら、「600秒×3=30分」は確かにその状態です。
しかし、それ以外の、「23時間30分は歯が当たっていない状態」です。

さて、その時にアゴの位置は何で決まっているか?
それが「舌」なんです。

例えば、右側の歯が舌側(内側)に倒れていたら、ベロにくっきり歯の跡がついてしまいます。

歯並びが細いと、舌に歯の跡がつく
このような歯の跡は、強い舌への刺激(舌ストレス)がある証拠であり、舌ガンの危険も増す

これは、舌への刺激(舌ストレス)となり、その結果、この人の顎はこちらにずれます。
なので、聖華に写真もらうこの人は、こんな感じで、毎日ご飯を食べ、しゃべり、歌っているのです。

咬み合わせとは、まず「舌ストレス」を無くすこと

「咬み合わせを良くする」ということは、まず、この顎のずれを元に戻さなくてはなりません。

私の最初の15年は、これをせずに歯の調整をしたことで、イマイチ治りが悪かったのです。
私だけではありません。
歯科大学では「舌を診る」ことは教わりません。
日本の歯科医学150年の歴史で、いや世界の歯科医学300年近い歴史の中で、「舌」の重要性は語られたことがなかったのです。

でも、それは当たり前といえば当たり前です。
何故ならば、これは「新しい口の中の病気」だからです。
では、次回はなぜこんな病気が出てきたのか?についてお話をしましょう。

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