「緊急寄稿」/歯科医流・新型コロナウイルスに負けない方法
感染源に注意し、なるべく「鼻うがい」を
今、新型コロナウイルスの猛威が、真っただ中の状況ですね。
感染防止に関しては、「マスク装着」と「他人との接触を減らすこと」が推奨されているのは、ご存知の通りです。
先日、病院で起こったクラスター感染の感染源は、タブレットでした。
もし、「接触感染」が今や主流だとすると、一番危ないのは「公共のトイレ」です。
密閉空間のうえ、水洗するたびに糞便の細かな粒子が水とともに飛び散りますから、やはり今は出歩かないのが一番の防止策です。
さらに、最新のデータでは「空気感染」の可能性も高まっています。
空気感染というのは、空中に舞っているウイルスに感染すること。
空気感染がルートのひとつであれば、防ぐには、とにかく換気です。窓を開け、風通しを良くしてください。
さらに、空気感染しにくい方法として、堀田修(認定NPO法人日本病巣疾患研究会理事長)先生は「鼻うがい」を推奨されています。
これは、かなり効果のある方法で、お金もかからずにすぐにできますので、どうか生活習慣に組み入れてください。
念のために、鼻うがい液のメーカーの動画をご紹介しましょう。
「鼻うがい」は、ぬるま湯で作った薄い塩水で行なってもよいと思います。
口腔内を健全化して新型コロナウイルスを遠ざける
さて、もしそれでも知らず知らずに感染してしまった場合は、どうしたらいいのでしょう?
ここでは、歯科の立場から、「万が一かかっても重症化しない対策」をピックアップしてお伝えしたいと思います。
まず、新型コロナウイルスに限らず、ウイルスに感染しやすい人の特徴は次のようなことが考えられます。
ウイルスに感染しやすい人の特徴
- 歯周病などの歯科疾患を持っている
- のどの乾燥 口呼吸など
- 咀嚼嚥下の機能低下
- 全身のどこかに基礎疾患を持っている
- 睡眠不足
- 運動不足
- 飲酒・たばこ
- ストレス
- 食事内容(偏食)など
飛沫感染の場合は、のどである“咽頭”にウイルスが付着して、感染が始まります。
のど(上気道)の粘膜が正常なら、唾液の糖タンパクが守ってくれています。
しかし、歯周病菌や喉の細菌は「ある酵素」を出してこのシールドを壊し、ウイルスが付着しやすくなります。
また、細菌が出す“内毒素”という毒も同じです。喉に働きかけ、ウイルスが侵入しやすくなります。
「口呼吸」は、喉が乾燥するだけでなく、異物やウイルス・細菌などが鼻の粘膜で除去されず、直接体内に入るため、風邪やインフルエンザにかかる危険性が高くなります。
さらに、冷たく乾燥した空気が直接喉へ行くため、喉にダメージを受けやすいのです。
「咀嚼嚥下の機能低下」に関しては、口腔機能低下症=オーラルフレイルという言葉が取りざたされてきました。年齢を重ねると、舌の筋肉及び、その周りの筋肉が衰えてしまうのです。
皆さんが、唾をごくんと飲むときに上下する、喉にあるでっぱりがありますね。これが“舌骨”です。
この舌骨の周りにある筋肉が衰えると、「誤嚥性肺炎」になりやすくなります。
「誤嚥性肺炎」により、なんと驚くなかれ、1日300人以上の人が亡くなっています。
*『高齢者の静かなる暗殺者:口腔内バイオフィルムとの戦い』奥田克爾より
新型コロナウイルスの比じゃないですね。
舌&舌骨上筋群が衰えると、誤嚥性肺炎だけでなく、ウイルスなどに感染した後に重篤化する確率が高くなるのです。
歯科の観点からお勧めしたい「具体的な対策」
私の考える、感染後、重篤化する人の特徴は以下の通りです。
1.歯科疾患を持っている人
2.全身のどこかに基礎疾患を持っている人
3.免疫が落ちている人
4.舌骨上筋群が衰えている人
100年前のスペインインフルエンザ(HINI型)のパンデミック時の、アメリカ人とイギリス人260人の調査では、歯科感染症のあった人は、インフルエンザに罹患したのは72%に達し、重篤になる人が多かったのに対し、歯科感染症のなかった人の罹患率は32%であったと報告されています。
なので、歯科の観点から見た対処法としては、以下のことが推奨されます。
●歯周病など治療できるものは治療をし、1日1度は入念な10分程度のブラッシングをし(特に寝る前)、喉に行く菌を減らす
●帰宅時には手洗いは石鹸で良く洗い、うがいは「リステリン原液」で30秒すすぐ
※リステリン原液での30秒間のうがいは、HIV(エイズ・ヒト免疫不全ウイルス)も不活化するだけでなく、エンベロープを有するコロナウイルスも短時間で不活化すると考えられています。
●常にウイルスを胃に落とすように、少しづつマメに水を飲んで、喉も潤す
●舌の筋トレをし、舌骨上筋群を鍛え、新型コロナウイルス予防だけでなく、「無呼吸症候群」や「誤嚥性肺炎」にならない体を作る
特に、リステリン原液での30秒間のうがいは、HIV(エイズ・ヒト免疫不全ウイルス)も不活化するだけでなく、エンベロープを有するコロナウイルスも短時間で不活化すると考えられています。
そして、「舌」を鍛えることは、摂食嚥下機能を回復させ、感染予防に役立ちます。
これは、誤嚥性肺炎防止のために、解剖学の専門の先生と一緒に考案した、舌の機能回復トレーニング「シタトレ」です。
あなたの免疫を上げるトレーニング「シタトレ」
(舌機能回復トレーニング)
最初は舌の筋肉痛になり、少し痛いですが、おうちで簡単にできますから、ぜ
ひ実行して役立ていただき、これをきっかけに、健康になってください。
あと他にできる免疫アップですが、以下のことを心がけてください。
- 良く睡眠をとり
- 適度な運動
- お酒はほどほどに
- たばこはやめて、食事もバランスを考える
この機会に、「免疫アップの食事」のレシピを学ぶのもいいですね。毎日の楽しみにもなります。
感染予防とは、最後は自分の体のもつ“免疫“との戦いです。
私たち歯科医師の行う西洋医学も、“患者さんの治す力”を見込んで治療をしています。
特に私は、治すというよりも、“患者さんの治る力“を側面から応援している感じです。
なので、この機会にぜひ、口の中の細菌など、自分でコントロールできるものはしっかり行う癖をつけ、免疫を上げる生活をしましょう。
では、これを読んでくださっているあなたへ。
新型コロナウイルスに負けず、頑張りましょう!!