前回は、咬むことで顎は大きくなる。
咬まないと顎が小さくなり、歯も内側に倒れ込んでしまう。
その結果、舌に”舌ストレス”という刺激がかかる、というお話でした。
今日は顎を大きくするために具体的にどうすればいいのか、というお話をしましょう。
顎の比較
今からお見せする図は、顎の角度を側面から表した図です。
左側が縄文人で、ほとんど直角に近いがっちりとした顎になっていますね。
それに比べて右側の現代日本人は、ゆるやかな鈍角でいかにも華奢という感じです。
縄文人は顎の角度だけではなく、歯並びも非常に大きかったんですね。
私の研究では、縄文人並みの歯並びを持ってる人は男女とも全体の約7%です。
この二つの模型を比べてみてください。
これは両方とも男性の患者さんの歯の模型です。
左側の方は、非常に顎の大きさが大きくて歯が垂直に立っている、ということがお分かりいただけると思います。
それに比べ右側の方は、舌の方に歯が倒れ込み顎の大きさが非常に小さくなっています。
縄文人は大きな顎の骨格に加え、歯並びも広かったということが分かっています。
それはひとえに咬む回数がすごかったからなんですね。
恐ろしいことに、顎の大きさは遺伝します。
もし、お父さんやお母さんが食事の際に咬む回数が少なくて顎が小さくなってしまったら、遺伝子を通じてお子さんも顎が小さくなってしまいます。
それをどのように対処すればいいか?
一つは食育です。
一回の食事での咬む回数は1000回は超えることが望ましいです。
1400回ぐらい咬むとすごくいいと思います。
そのためには、日本古来の伝統食の固くて咬みにくい食事がいいですね。
焼き魚定食などもいいです。
あとは生野菜も咬むことが結構大変ですから、咀嚼回数が増えますね。
しかし、いかに食育をしていても親御さんの遺伝子が勝って、顎や歯並びがなかなか大きくならないというケースが多々あると思います。
その場合は、6歳から12歳までの間に小児矯正をしてください。
6歳から12歳までの間は骨も柔らかく、仮骨と言ってくっついてないところもたくさんあるので、骨自体が大きくなり縄文顎にできます。
ですが、大人で特に50代以降になると、骨は硬くなり歯周病にもかかる人が多くなります。
そして矯正しても後戻りをしてしまうことが多いため、矯正以外の方法で治療する方が良いという判断をすることが多くなります。
この場合は歯を丸める治療法になります。
本当に尖っているところをまず落として丸めてあげます。
それによって舌への刺激をなくすんですね。
この治療も痛くはありません。
若い方の場合は、両方を合わせた治療法をする場合が多いです。
若い方も歯が尖ってることが多いので、矯正をして口の中の容積を広げておいて、その後丸めるんです。
今日の内容は、食育で顎を大きくすることが大事。
それでも顎が小さい場合、親からの遺伝が強いから小児矯正をすると良い。
50歳以上は少し矯正は難しいので、丸める治療をした方がいいというお話をしました。
次回は、口の中の年代別にどんなケアをしたらいいか?
これについてお話をしたいと思います。